龍忍は、ときどき家に戻ってくる。そのとき二人で話をする。以前はまったく私の話を無視していた彼が、心を開いて話をしてくれているのが、今の私にとってはかけがえのない時間。

彼の今の環境は、一般的にはひどく悪い状況なのかもしれない。でも、幸い私は彼のことを一般的な常識からははかっていない。世間的なことはちっとも問題ではなく、彼の気持ちがどうなのかだけが焦点。そして彼の健康がもっとも心配であり、彼の人への気持ちがさらに心配。

たとえ1年2年、いやもっとかかろうとも、今じっくりといろんな意味で勉強してほしいと思う。学校に行ってないことで逆に得られる世界もあろうし、それを恐れる気持ちもあるにはあるけれども、今の彼の言動、行動を通してそんな中にいても自分なりのルールをもってすごしている彼に敬意を表したいと思う。


死ぬことばかり考えた親がそばにいたときの彼の気持ちなぞ、ちっとも考えていなかった。今の彼を作り出したのは、学校だけじゃなくって、私も、そして夫も、そして今までの生活も関わっているのは確か。


この間話をしたときに、彼に「つまんないワルにだけはなるな。自分のルールを守って、仲間を守れるあなたでいなさいよ。強くなることがどういうことなのかを考えてね」って言ったら、頭の中でなにか考えた様子をみせ、そして私にこういった。


「母さんももう泣くな」


長男の受験が終わり、お兄ちゃんとの関係においても見放された気持ちになって、それは修復したにしても、きっと遠いところにいってしまった気持ちは残っているのだろう。父はまじめすぎるといっていた。自分にとって身近な存在がほしいこの時期に、私との関係も冷め切った。彼がよりどころにしていた担任も3年になって変わってしまった。友達関係も表面的には明るく、クラスのムードメーカーとして張り切ってしまう彼だからこそ、バスケでのことをきっかけにして、自分の孤独を強烈に感じたのかもしれない。そして、新しい人間関係を今必死で求めているのだと思う。


後悔しても始まらないし、どうにもならないことだけれど、彼にとって私はヨルダンでの生活などを通してもっと強い存在なのだったと思う。自分自身を振り返ってみても、迷いなくどんどんと思うところを突き進んでいた。そういう親が一変して、ウツになって、弱いところばかりが目立ってきて・・・。彼にとっての母親という存在を今強く感じる。もっと自分が強くならなきゃ、彼は決して歩み寄ってこないだろうな・・と。


今実は少し怪我をしていて、外出がままならない。車でさえ乗れない。この怪我がよくなるまでに、これから私がどうすべきなのかをよく考えて、彼といっしょに乗り越えていこうと思う。

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